
【おにぎりサミット】ご飯と切っても切れない関係のお肉 米沢牛と伊達鶏から見える畜産の未来とは
2025年2月7日(金)に開催した「おにぎりサミット2025」。様々な角度からおにぎりを考えるトークセッションが行われました。そのひとつが「肉とご飯の美味しい関係」です。このセッションのテーマはご飯との相性抜群のお肉について。
日本が誇るブランド牛の「米沢牛」の産地である米沢市の近藤洋介市長、米沢の魅力を発信している米沢市おしょうしな観光大使の平塚千瑛さん、ブレス鶏の血を引く銘柄鶏「伊達鶏」の産地である伊達市長の須田博行市長、東京の焼き鳥界に伊達鶏を広めた鳥よし店主の猪股善人さん、伊達なふるさと大使の長沢裕さん、グルメプレゼンター橋本陽さんが登壇し日本の畜産が持つ力について語りました。
米沢牛の魅力と課題
「お肉の味わい方にはステーキや、しゃぶしゃぶ、すき焼きもありますね。おいしいお米との相性は抜群。特に脂にも甘みがあるすき焼きで米沢牛を楽しんでもらいたい」と近藤市長。
平塚さんも「米沢牛って、霜降りと赤身のバランスがとっても美しいんですよ。目で見てまず美しい、そして火を通すと噛まずにとろける柔らかさ。米沢牛を食べてるという幸福感が一番の魅力なんじゃないでしょうか」とそのおいしさをアピール。実際に平塚さんは米沢牛老舗「登起波牛肉店」で働いていた経験があるといい、その言葉には実感がこもっています。
「米沢牛を支えているのは真面目な生産者です。厳しい冬を生産者の人たちが丁寧に育てている。それが大きな強みです」と話す近藤市長は課題についても言及します。「頭数はほかのブランド牛に比べると少ないけれど、このブランド価値に生産者や流通の方たちとこだわっています。課題としてはやはり後継者問題と、牛の糞尿をどうリサイクルしていくかですね。今は、肥料を使って発電しようという動きもあり、SDGsを体現しようという挑戦をしています」。
伊達鶏の魅力と課題
須田市長は伊達鶏について「焼き物、煮物、揚げ物・・・伊達鶏はどんな料理にも合います。伊達鶏は料理人の方に向けて、改良した鶏で、平飼いで運動させた弾力のある肉が特徴です」と話しました。実際に料理人として伊達鶏を使用している猪股さんも「市長が言うようにどんな料理にも合う。お客さんからの評判もいいんですよ。伊達鶏は内臓もおいしい。内臓がおいしい食材はいい水や飼料で育てられてるということですよね」と頷きます。
「いかに広めていくかが課題です。東京では知っていただいているけど、実は地元ではまだまだ浸透が足りない。このおいしさを地元から発信していきたいと思っています」と須田市長は課題についても触れました。
世界へ発信する日本の畜産
日本の料理は食材の魅力をより表現できると話すのは橋本さんです。「海外から訪れる方たちも、日本のお肉を楽しみにしている人が増えていますよね。お肉のおいしさを味わえるすき焼きは以前からも人気ですし、最近では焼き鳥が好きだという外国人も多い」。一方で、実際に海外の人に向けて料理を提供する際に文化の違いを感じることがあったと言うのは猪股さんです。
「たしかに焼き鳥はすごく人気なんですよ。でも海外の人にとって焼き鳥はオードブルで『メインはどこだ?』と言われることもありました。私たち日本人にとってはお酒を飲みながら焼き鳥を食べるのも当たり前。でも彼らにはそうではなかったんですよ。そこで、焼き鳥と一緒にご飯を出してみると、焼き鳥がメインになったんです。白いご飯をそのまま食べるだけでなく、タレや七味をかけて焼き鳥を楽しんでいるようでした」。
猪股さんの言葉に進行を務める長沢さんは「これは世界に日本食を発信するときのヒントになるかもしれませんね」と感心していました。平塚さんも「畜産する中で出るガスなども課題と言われていますが、飼料が改善する中でその影響も小さくなっていると聞きます。日本で作られる安心で安全なおいしい食べ物を世界の人たちにもっと知ってもらいたいと思います」と話しました。
「話を聞いていると現地に食べに行きたくなりますね。伊達市は実はまだ行ったことがないので、ぜひ現地で味わいたいです」と橋本さん。会場でトークセッションを聞いている人にとっても、おなかが空く内容になったのではないでしょうか。
おいしい食材をより楽しむ料理と、そこに寄り添うご飯。相性の良さだけでなく、ご飯によってメインとしての存在感を増すという現場の声を聞くことができました。