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2025.03.25

【おにぎりサミット】被災者の心に寄り添う食事の大切さ 中能登町と陸前高田市の状況から防災や復興について考える

2025年2月7日(金)に開催した「おにぎりサミット2025」。様々な角度からおにぎりを考えるトークセッションが行われました。そのひとつが「2011・2024 東日本大震災と能登半島地震 おにぎりと『防災・復興』」です。

 

2024年1月1日に発生した能登半島地震から一年が経ちましたが、大きな被害の影響は長く、まだまだ現地の人々は大変な思いを強いられています。今回のおにぎりサミットでは「11+1」をロゴでも表現していますが、これは参加する11自治体と、今回のセッションのために来ていただいた石川県中能登町を表しています。このセッションでは、東日本大震災で被災した陸前高田市と能登半島地震で被災した中能登町を中心に防災と復興について話し合われました。

 

登壇は石川県中能登町 企画情報課 岩田正さん、岩手県陸前高田市 佐々木拓市長、同じく陸前高田市から 防災課長兼防災対策監の中村雄さん、尾西食品株式会社 取締役営業企画部長兼広報室長 栗田雅彦さんです。

 

避難所での食事は被災者のメンタルにも影響

おにぎりサミット開催日は日本各地で大雪の影響があり、中能登町でも二次災害の恐れが懸念されていました。震災をはじめとする自然災害は発生したその日だけではなく、復興までに長く時間がかかることがわかります。実際に中村さんは陸前高田市の被害も2年かけて検証し報告書としてまとめたと話しました。「検証していく中で、『避難がなにより重要』、『避難した先の避難所でも犠牲が出てしまった』などの状況もわかり、教訓となりました」。

 

また、避難所で過ごす中で食事が唯一の楽しみになっていたとも振り返りました。「避難所においては食事の配慮が重要です。食事は被災者のメンタルにも影響します」と中村さん。中能登町の岩田さんも「中能登町でも地元の方が自分たちも被災しているのに、炊き出しでおにぎりを出してくれた」と話します。

 

災害食として注目されるアルファ米

能登半島地震でも食品支援を行ったのは尾西食品です。もともとは軍用食料だったアルファ米ですが、戦後に平和的用途としても活用されはじめました。「阪神淡路大震災で初めて災害食として注目されました。私たちは災害時にも普段と同じようにおいしい食事をとってもらいたいと考えています。避難所生活が続くとレトルト食品など濃い味付けのものが多く提供されますが、年齢が上の人にとっては口に合わないこともあります。そんなときに私たちの提供するおにぎりを食べ、その優しい味に喜んでいただけました」。

 

栗田さんが手にしているのは、水を入れるだけでおにぎりができあがる携帯おにぎりです。「作り方も簡単ですが、災害時に戸惑わないように普段から備蓄し、食べていただきたいですね」と栗田さん。

 

お米を通じて農業の振興や復興を

農地や田んぼも津波で被災し、塩の影響を大きく受けたと話すのは佐々木市長です。「復興した農地で新しいお米を作り始めました。名前も市民からの公募で『たかたのゆめ』とし、農業復興のシンボルとなっています」。たかたのゆめはさめてもおいしいという特徴もあり、どんな状況でもおいしくご飯を食べるという想いも込められているよう。

 

お米を通じて農業の振興や復興をしている陸前高田市の状況に岩田さんは「私たちはまだまだたくさんの課題がありますが、今回陸前高田市さんの話を聞いて参考になった」と頷いていました。

 

自然災害の多いこの国では、防災や実際に災害が発生した際の対応は重要です。被災者に寄り添う食事の大切さがよくわかるセッションとなりました。

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