知る
2025.08.18

フルーツおにぎりは「地域資源を生かした食文化の新しい形」

「おにぎりは塩と米と海苔」──そんな常識をやわらかく崩してくれるのが、フルーツおにぎりです。

 

全国各地でおにぎりを食べている、おにぎり協会代表の中村。愛媛・松山の温泉街、栃木・真岡の道の駅、埼玉・深谷の道の駅で出会ったフルーツおにぎりから、新たな価値を見つけました。

 

愛媛・松山「みかんおにぎり」

 

道後温泉街で風に乗って届く柑橘の香り。道後たま屋の看板商品「みかんおにぎり」は、愛媛特産のみかんジュースでごはんを炊き、皮を少量刻んで加えた柑橘炊き込みおにぎり。ひと口目はやわらかな甘み、そのあとにほろ苦さと香りの余韻。具には鶏や牛が使われ、香りにしっかり芯を通しています。

おにぎり協会として注目したのは、甘み・酸味・塩味の三角形が完成していること。このバランスが、旅先での一食としての満足度を高めています。

 

栃木・真岡「いちごおにぎり」

 

栃木県真岡市は「いちご王国」を掲げる街。道の駅にのみやでは、春になるといちごおにぎりやいちご稲荷が登場します。販売元は地元の惣菜店。酸味のあるいちごを酢飯や甘じょっぱい油揚げで包むことで、角が取れ、甘みが引き立ちます。

 

おにぎり協会として面白いのは、果物の酸味を「酢飯+揚げ」で受け止める技術です。これは和食の酸味設計そのもので、季節感と調和した完成度があります。甘酸っぱさをそのままごはんに混ぜるのではなく、酢飯や甘じょっぱいお揚げで包み込むことで、酸味が丸くなり、余韻が長く続きます。おにぎりの中には、梅酢で炊かれたご飯のなかにいちごが混ざっており、頭にどかっといちごが鎮座。酸味と甘みがあわさり、思っている以上におにぎりしています。

春先に訪れると、店頭は甘い香りで満ちていて、まるで果物の市場に迷い込んだような感覚になります。

 

埼玉・深谷「りんごおにぎり」

 

深谷市の道の駅おかべにある「百縁むすび」では、季節限定でりんごおにぎりが販売されています。塩むすびの中に角切りりんごを混ぜ込み、シャクッとした食感と果汁の甘みをそのまま生かしています。

おにぎり協会として評価したいのは、あえて火を通さず、生の食感を残した設計。これにより、おやつのようでいて食事にもなる中間領域を実現しています。

 

フルーツおにぎりが面白い理由

思っている以上の完成度:米と果物の甘さの相性が思っている以上にいい

米で個性を打ち出す:炊き込み・混ぜ込みで個性を打ち出せる

地域性と季節感:旅の途中でしか出会えない味になる

 

あなたが食べてみたいフルーツおにぎりはありますか? ぜひ教えてください!

 

参考:

中村祐介「フルーツおにぎりの世界」

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