
フルーツおにぎりは「地域資源を生かした食文化の新しい形」
「おにぎりは塩と米と海苔」──そんな常識をやわらかく崩してくれるのが、フルーツおにぎりです。
全国各地でおにぎりを食べている、おにぎり協会代表の中村。愛媛・松山の温泉街、栃木・真岡の道の駅、埼玉・深谷の道の駅で出会ったフルーツおにぎりから、新たな価値を見つけました。
愛媛・松山「みかんおにぎり」
道後温泉街で風に乗って届く柑橘の香り。道後たま屋の看板商品「みかんおにぎり」は、愛媛特産のみかんジュースでごはんを炊き、皮を少量刻んで加えた柑橘炊き込みおにぎり。ひと口目はやわらかな甘み、そのあとにほろ苦さと香りの余韻。具には鶏や牛が使われ、香りにしっかり芯を通しています。
おにぎり協会として注目したのは、甘み・酸味・塩味の三角形が完成していること。このバランスが、旅先での一食としての満足度を高めています。
栃木・真岡「いちごおにぎり」
栃木県真岡市は「いちご王国」を掲げる街。道の駅にのみやでは、春になるといちごおにぎりやいちご稲荷が登場します。販売元は地元の惣菜店。酸味のあるいちごを酢飯や甘じょっぱい油揚げで包むことで、角が取れ、甘みが引き立ちます。
おにぎり協会として面白いのは、果物の酸味を「酢飯+揚げ」で受け止める技術です。これは和食の酸味設計そのもので、季節感と調和した完成度があります。甘酸っぱさをそのままごはんに混ぜるのではなく、酢飯や甘じょっぱいお揚げで包み込むことで、酸味が丸くなり、余韻が長く続きます。おにぎりの中には、梅酢で炊かれたご飯のなかにいちごが混ざっており、頭にどかっといちごが鎮座。酸味と甘みがあわさり、思っている以上におにぎりしています。
春先に訪れると、店頭は甘い香りで満ちていて、まるで果物の市場に迷い込んだような感覚になります。
埼玉・深谷「りんごおにぎり」
深谷市の道の駅おかべにある「百縁むすび」では、季節限定でりんごおにぎりが販売されています。塩むすびの中に角切りりんごを混ぜ込み、シャクッとした食感と果汁の甘みをそのまま生かしています。
おにぎり協会として評価したいのは、あえて火を通さず、生の食感を残した設計。これにより、おやつのようでいて食事にもなる中間領域を実現しています。
フルーツおにぎりが面白い理由
思っている以上の完成度:米と果物の甘さの相性が思っている以上にいい
米で個性を打ち出す:炊き込み・混ぜ込みで個性を打ち出せる
地域性と季節感:旅の途中でしか出会えない味になる
あなたが食べてみたいフルーツおにぎりはありますか? ぜひ教えてください!
参考:
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