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2024.03.03

【おにぎりサミット】おにぎりと生きる4名の女性が登壇 おにぎりぼんご、TARO TOKYO ONIGIRI、おにぎり神谷、旅するおむすび屋さんによるトークセッション

2024年2月2日(金)に開催した「おにぎりサミット2024」では、様々な角度からおにぎりを考えるトークセッションが行われました。そのひとつが「女性セッション」です。老若男女、分け隔てなく愛されているおにぎりをテーマにおにぎりぼんごの右近由美子さん、TARO TOKYO ONIGIRIの川原田美雪さん、おにぎり神谷の神谷よしえさん、旅するおむすび屋さんの菅本香菜さんが登場。それぞれのおにぎりとの関わりや思いを話してくれました。

 

大変な時期だからこそ、質を上げお客さんの顔を見ながら握る

「おにぎりと向かい合って48年たくさんの思いがあります」と話し始めたのは行列の出来る人気おにぎり店「おにぎり ぼんご」の右近さん。ぼんごをオープンした当時おにぎり専門店は多くなく、特に一代目店主のご主人が病に倒れてからは、お客さんに「握りが甘い」、「味噌汁がまずい」と言われたこともあるそうです。「でも自分には経験がないから、お客さんからのその言葉もひどいとは思いませんでした。そしてお店を始めて10年経ったら、お客さんの顔がちゃんと見えるようになりました。」

右近さんが話してくれた思い出の中に、やりくりに精一杯だった時期のエピソードもありました。ご主人がより高価なお米を仕入れようとしたことがあったそうです。「どうしてと私は思いましたが、こんな時に質を落としたらお客さんが離れるよと言われました。こんな時だからこそ、質を上げるという考えは当時は理解できなかったけど、二代目となった今はよくわかります」。

「出口の見えないトンネルを泣きながら走り続けた時代でした。でも今日までコツコツやってきて、70歳を過ぎた今、おにぎりは素晴らしいとはっきり言えます。人生を捧げても惜しくないものです」と言う右近さんは最後に「死んだらおにぎりになりたい」と笑顔を見せてくれました。

 

おにぎりには無限の可能性がある

子どもの頃はハンバーガーの方が好きだったり、糖質制限を気にしておにぎりをあまり食べていなかったというのは川原田さん。「だからこそ、今はおにぎりには無限の可能性があると思います」と言います。「おにぎりにはルールがありません。私たちはおにぎりは無限の宇宙だというコンセプトでやっています。ヴィーガンやアレルギーにも配慮できるおにぎりは、どんな人にでも楽しめると感じています」と話す川原田さん。「ライスボールではなく、おにぎりという言葉を世界にも広めていきたいし、子どもの頃に私がハンバーガーに憧れていたように、おにぎりに憧れてもらえるようにこれからも活動していきたい」と世界に発信していく目標を語ってくれました。

 

日本人にとってお米はアイデンティティ

毎週末、佐賀県嬉野市で「おにぎり神谷」としておにぎりを握っている神谷さん。あつあつのおにぎりを手でお客さんに渡すと心がけているそうです。「ご飯は土鍋で炊いていて、握る前に必ず炊きたてのご飯を土鍋の蓋を取って見てもらっています。ご飯を炊いた時のゆげを体験してもらいたいんです。ゆげはご馳走だと思っています」と話す神谷さんは日本人にとって、お米はアイデンティティだと感じているそうです。

「新潟の人は新潟のお米、富山の人は富山のお米と、みなさんふるさとのお米が好きだと思います。実際にそういう会話をみなさんするんですよ。日本の食事の原点はやはりお米。発酵文化や調味料などもお米に合うもので、お米が根源にあります。おにぎりは素晴らしいし、私はどこにでも握りにいきたいです」と神谷さん。おにぎりにはいろいろな世界を繋ぐ力があると感じているそうです。「食材や食事を通して人と人が繋がっています。お米からいろんな世界が広がるんですよ。みなさんがふるさとに自信を持ってもらえるように、これからもいろんなお米を握っていきたいです」。

 

食事は人生の喜びを作ってくれる

旅するおむすび屋さんとして、全国で食育などの活動を行っているのが菅本さんです。「7年前から全国でおむすびのワークショップを行っています。コロナ禍の時期には2年かけて47都道府県を取材し、おむすびにはその地域らしさが反映されていると感じました」と話す菅本さんは拒食症になった経験があり、食べるものが自分の身体を作っているということを考えるようになったと言います。「食事は人生の喜びを作っていると思います。私は食に対して恩返ししたいし、おむすびを通じて幅広い世代や地域と関わることができるのがうれしいです」。

旅をしながらさまざまな食文化を知れるという菅本さんは「おむすびは私にとって最高の相棒」とおにぎり愛を語ってくれました。

 

おにぎりとの出会いで人生が変わったと言っても過言ではないような、まさにおにぎりサミットらしいトークが行われました。心があたたかくなるようなお話に、会場からは大きな拍手が沸き起こったセッションとなりました。

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