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2024.03.04

【おにぎりサミット】ビジネス視点でおにぎりを考える ローソンや神明のチャレンジとは

2024年2月2日(金)に開催した「おにぎりサミット2024」では、様々な角度からおにぎりを考えるトークセッションが行われました。最後に行われたのが「ビジネスセッション」です。おにぎりや米食文化の拡大には社会的な動きも不可欠。おにぎりやお米を供給するメーカーの力が必須となります。ここでは、株式会社ローソン 理事執行役員 商品本部 エグゼキューションスペシャリスト、そして株式会社SCI の代表取締役社長でもある伊藤一人さん、株式会社神明 取締役執行役員 成長戦略室長の鈴木章人さん、そしておにぎり協会代表理事の中村祐介が登壇。おにぎりとお米の未来についてトークセッションを行いました。

 

安定供給のため誕生した新たなブレンド米

2002年におにぎりのオリジナルブランド「おにぎり屋」をスタートしたローソン。その立ち上げを担当したのが伊藤さんでした。

 

「もう一度おにぎりをリブランディングしたいと言われ、最初は和紙のデザインを取り入れたりし高級おにぎりからからスタートしました。さらにお米、お塩、海苔にこだわり、具材もスタンダードなものだけでなく何か一歩踏み込んだものをと考えました」と伊藤さん。もともとおにぎりにはブレンド米を使用していたということですが、単一銘柄でのおにぎりも象徴として誕生させたいと米所に通い、農家と信頼関係を築いていった経験もあります。一方で「店舗の数が1万4000店舗を超え、安定した供給のために新たなブレンド米を作ることになりました」と伊藤さん。「それぞれの土地のみなさんが大事に育てているお米を分けていただき『金しゃりおにぎり』を誕生させました。白いご飯を銀しゃりと呼びますが、うちでは金にしようと名付けました」。金しゃりシリーズでは厳選した産地の国産米を、発売する地区ごとに米に占める割合で50%配合したブレンド米が使用されています。

売り手からも「続けてほしい」という声があったようで、生産者と向き合ってきた様子がよくわかります。

 

日本で作られたおいしいお米をおにぎりで世界に発信したい

120年以上お米一筋、というのが株式会社神明です。「日本ではお米の消費量が減っていて、かつては1人当たりの年間消費量が62キロだったのが、今では半分以下になっています」と危機感を感じていると鈴木さん。「生産者がいて、そこに私たちが付加価値をつける。そうして消費を拡大していきたい」言う鈴木さんは、海外にも目を向けていると言います。

「おにぎりは日本の農業を救えると思っています。私たちは海外を含めて発信していて、実際に年間8000トンを輸出しています。また『魚べい』という回転寿司の店舗も展開していて、これは日本国内よりも海外店舗の方が多いんです。おにぎりは今ようやく海外でおにぎりという言葉が定着したばかりなので、これから力を入れていきたいですね。腹持ちが良くて手軽なおにぎりは海外でも人気になると思っています」と今後の展望を話す鈴木さんは、その根源に日本で作られたおいしいお米を発信したいという気持ちがあると話してくれました。

 

専門店だけではできない安定供給の難しさ

ふたりの話を聞いた中村は「質や量を安定供給させるというのは大変難しいこと。おにぎり屋さんをやりたい、増やしたいと思ってもそこを安定させられるのはお米屋さんの力ですよね。神明さんが海外に8000トンも輸出しているというのは素晴らしいと思いました」と話します。

それは全国でおにぎりを販売している伊藤さんの話からも感じられました。「おにぎり専門店は増えているけれど、どこでも同じものが食べられるというのはなかなかありませんよね。大量に作って、品質を維持するというのは地味に見えても大変だと思います。違う人が作っても同じ味をキープできるというのはローソンだからこそじゃないでしょうか」。

 

企業の力が社会に与えるインパクトは大きいからこそ、おにぎりの発展には欠かせません。普段はなかなか聞く機会がない、ビジネス視点からのおにぎりやお米の話となりました。

 

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