家族と、わたしと、おにぎりと。 “家族の日”が教えてくれた心でつながる大切な関係
心に残る“母の味” おにぎりへの信頼感は絶大なんです
私にとって「おにぎり」と聞いて浮かぶのは、母の姿です。遠足や運動会の日の朝、母に教わりながら一緒に大量のおにぎりを握りました。私はいつも塩をつけすぎてしまって、しょっぱくなりがち。母の実家・茨城から届く大粒で酸っぱい梅干しを具にするのですが、真ん中に置いて握るのがとても難しくて……でも、その難しささえ楽しかった。母は豪快で、いつも「みんなお腹いっぱい食べてほしい」と、クラスの友だちや先生の分までたくさん作っていました。恥ずかしいのに、どこか誇らしい。あたたかくて、こそばゆい思い出です。
もちろん今でも、おにぎりはよく食べます。マラソンが趣味の私は、初フルマラソン前に「炭水化物を増やすべき」と知り、そこからおにぎりが欠かせない食べ物になりました。消化も良く、腹持ちも良くて、海苔や具材で栄養も補えるのがおにぎり。まずは大会当日の朝に1、2個。走る1時間前に1個。そして完走後にも体をリカバリーするために、また2、3個食べます。自分の中でおにぎり計画を立ててフルマラソンも完走できたので、私にとっては“走る相棒”と言っても過言ではないかもしれません(笑)。
おにぎりに救われた経験はほかにもあります。以前、レコーディングの途中にエネルギー不足で声が出なくなったことがあったんです。でも、自分で作って持って行ったおにぎりを食べた瞬間に体中に力が湧き、声がはっきりと変わりました。周りのスタッフやミュージシャンにもびっくりされるくらい。そんな経験もあって、おにぎりへの信頼感は絶大なんです。だから私は、常にカバンにおにぎりを忍ばせています。
おにぎりの具は、最近は梅干しが大好きです。特に、すごく酸っぱくて果肉が肉厚なもの。あの酸味が、疲れた体と心を癒してくれる存在ですね。
食事は“誰かと一緒においしいねと言う時間”
食べることは喜びであり、楽しみであり、人とのつながりです。仕事の仲間やお世話になっている方と食事を重ねると、見えてくる景色が変わる。一緒にご飯を食べた記憶は、その人の魅力を深く知るきっかけになります。大人数よりも、私は1対1でゆっくり話す食事が好き。短い時間でも、心に強く残るんです。
「家族の日」という言葉を初めて知ったとき、運命的なものを感じました。日本では母の日や父の日は誰でも知っているけれど、「家族の日」を意識して過ごす文化はまだない。最愛だった母の命日に続けてきたコンサートが2023年にファイナル公演を迎えることとなり、そのコンサートに代わる新たな一歩を探している時に出会ったのが「家族の日」でした。私にとっては、まるで次の道しるべのように思えました。一年に一度、大切な人を素直に思える日をつくること。それが今の私の願いであり、目標になっています。
私にとって家族とは、血のつながりだけではありません。同じ時間を歩み、ぶつかっても許し合えて、安心をくれる――そういう存在を私は家族と呼んでいます。孤独は、人をじわじわと蝕むもの。だからこそ、心でつながる関係を大切にしたいと思っています。
そして、家族と食事も切り離せない関係です。私の父と母は共働きでしたが、休日の昼と夜はほとんど3人で食卓を囲んでいました。外食へ行く日もあれば、母が手料理を振る舞ってくれる日もある。特にお米とうどん、ラーメンが大好きで、みんなでおかわりしながらモリモリ食べた記憶があります。父が教えてくれた「しば漬けをのせた、醤油少し多めの卵かけご飯」の味は、今でも脳と舌に焼きついています。

そんな私ですが、20代のころは毎食カップラーメンという生活を送っていました(笑)。でも、食習慣を変えると身体も心も強くなるのを感じて、今ではビタミン、ミネラル、たんぱく質、食物繊維――一食でどれだけ摂れているかを計算しながら食材を選ぶようになりました。最近は特にお魚が好きで、旬の魚や調理法をもっと学びたいですね。
まっさらな塩むすびが語る“家族”のかたち
これより先は会員限定コンテンツです。ログインまたは、会員登録が必要です。
Recommendおすすめ記事
おにぎり協会クイズ【お米を知ろう!】Vol.392「稲作とロボット」
おにぎり協会クイズ【お米を知ろう!】Vol.284 田植えの「間隔」
【What’s FooDays?】8月31日は「野菜の日」







0件のコメント
コメントはまだありません。