【海苔のはなし】vol.4 こんにちは、海苔です!(自己紹介編)
こんにちは、山本海苔店の山本貴大です。
前回まで海苔の歴史を3回に分けてお話しいたしました。
さて、今日は「海苔」のあれこれをプロフィールっぽくご紹介いたします。
- 私の名前
私は「海苔(のり)」です。意外と難しいのか、書けない方も多いのではないでしょうか。そして、よく「かいそう」と読み間違えられます。「苔(こけ)」は小学校では習わない漢字ではあるのですが、ぜひ覚えてください。
ちなみに、語源はヌルヌルするという意味の「ヌラ」がなまって「海苔」になったと言われています。 平安時代は「紫菜(むらさきのり)」とか「甘のり」と呼ばれていましたが、地方により呼び名が変わり、江戸時代には「海苔」と呼ばれるようになりました。韓国で海苔は「海衣(ハイホ)」、中国では「紫菜(シーツアイ)」と呼ばれています。
- 私が採れる場所と量
私は日本で1年間に約80億枚作られています。1枚とは前回お話しした19cm×21cmのことです。養殖とは言え、非常に天候に左右されやすいデリケートな私は年により採れる量が結構上下します。
ところで、単純計算すると日本人1人あたり、年間66枚も海苔を食べている事になります。
そして、海苔が「海」で採れるという事はもう皆様ご存知かと思います。
産地を大きく3つに分けると
- 「九州有明海(佐賀・福岡・熊本)」 生産量 約40~45億枚/年
国内最多の生産量を誇る有明海漁場を持つ九州有明海は、全国の生産量のうち50%以上を占めています。
ギフトに使われる高級海苔が多く、柔らかく、口溶けのいい海苔が特徴です。
有明海は潮の干満差が6~7mもある浅い海で、主に「支柱式」と呼ばれる漁法が採用されており、
海苔は満潮時には海の中で海の栄養をいっぱいに吸い込み、干潮時には完全に海から出て太陽の光で光合成します。
その繰り返しでおいしい海苔ができるのです。
ただし、少し色が浅いのが弱点です。
- 「瀬戸内(兵庫・広島等)」 生産量 約25億枚/年
瀬戸内海に面した近畿、中国、四国の1府8県の漁場で構成する地区です。
色が黒々としており、しっかりとした海苔のため、業務用海苔で重宝されています。
- 「東日本(宮城・千葉・北海道等)」 生産量 約10億枚/年
三重県から北海道までを東日本地区とします。
この地域では、三重県の伊勢湾。愛知県の知多湾、三河湾、渥美湾。神奈川県・千葉県の東京湾。宮城県の仙台湾などが主な漁場があります。
なんだ、海苔って結構どこでも採れるのね。と思われがちですが、そういうわけではございません。
しかも産地により海が荒いのか?穏やかなのか?栄養が多いのか?川が多くあるか?など自然環境がそれぞれ異なる事や、さらに作り方も違います。
そのことで色・味・つや・口溶けなどそれぞれ個性の違った海苔ができますので、産地によりどんな料理に適してくるものが多いのかも違うのです。
今度、店頭に並んでいる海苔やお寿司屋さんで産地を注目してみてくださいね。
例えば
あなた「板長、これはどこ産の海苔だね?」
板長「兵庫ですぜ」
あなた「だからしっかりして、このお寿司にあうのですね」
板長「へい(ぬ、このお客様なかなか・・・)」
なんて通な雰囲気が出せるかもしれません。
- 私のサイズと数え方
サイズについては前回歴史の回でもお話しましたが一番大きなサイズ19cm×21㎝の正方形に近い長方形。
これは「全判」とか「全形」とか「板のり」とか呼ばれます。
全形を半分にしたのが「半裁」とか「手巻きサイズ」です。その名の通り手巻き寿司の際にぴったり。
全形を縦に3等分した物が「三つ切」。これはおにぎりでよく使われるサイズです。
全形を十字に4等分した物が「4つ切り」。小さめの手巻き寿司、手巻きご飯に。
全形を8等分した物がよく「八つ切り」「食膳用」。ごはんのお供サイズです。
そして海苔の数え方は「帖(じょう)」を使います。全形海苔10枚=1帖(じょう)です。
歴史の回で海苔は和紙の製法をもとに今の板状になったとお話しましたが、
和紙の単位が紙や海苔のような薄いものを数える単位が「帖」です。
紙の場合には、美濃紙で48枚、半紙ならば20枚、西洋紙ならば12枚が1帖。
海苔の場合は、10枚が1帖となっています。
私の旬(採れる時期)
これも意外と知られていないのですが海苔にも旬があるのです!そして今まさにその時期です!
海苔は11月頃から摘み取りが始まり、12月初旬から店頭に並び始めます。
摘み取りは3月中旬(ごく一部の産地では4月中旬)まで続きます。
また、産地で最初に摘み採られた海苔は「新海苔」と呼ばれ、やわらかく、香り高い風味が特徴なのです。お歳暮やお年賀はまさに新海苔の時期です。冬のギフトに「旬」の新海苔を贈ると、とても喜ばれますよ!
いかがでしたでしょうか。海苔のあれこれを知って頂く事ができたでしょうか。
次回は「おいしい海苔の秘密」についてお話したいと思います!
それではお楽しみに。
文:おにぎり応援大使・山本貴大 (山本海苔店 http://www.yamamoto-noriten.co.jp)