おにぎり協会、中東カタールでも「おにぎり」は愛された(ドーハ開催「おにぎりフェア」レポート)
おにぎり協会は、2016年3月7日(月)~3月11日(金)、中東の国「カタール」の首都ドーハでおにぎりフェアを開催しました。2015年ミラノ万博日本館に続き、おにぎり協会の海外フェアとしては2回目になります。
■おにぎり協会が中東圏に注目する3つの理由
今回のおにぎりフェアの目的はなんといっても「中東圏に日本のおにぎりは通じるか」です。協会として中東に着目した理由は「人口が増えていること(イスラム圏)」、「宗教上あまりお酒を飲まないこと」「米食になじみがあること」の3つです。
まず1つめの「人口が増えていること(イスラム圏)」。現在、イスラム教徒が住むイスラム圏の出生率が高く、特に若い層も多いことがあります。少子化の進む日本以上に、おにぎりが普及していく可能性があるだろうと考えました。
2つめの「宗教上あまりお酒を飲まないこと」は、イスラム教としてお酒をあまり嗜まないので、日本政府が推しがちな「日本酒」などよりも「おにぎり」のほうが将来性は高いのでは? という判断です。ちなみに醤油やみりんなども、アルコールが入っているものはNGです。
米調査期間ピュー・リサーチ・センターによると世界の宗教別人口は現在キリスト教徒が最大勢力ですが、2070年にはイスラム教徒とキリスト教徒がほぼ同数となり2100年にはイスラム教徒が最大勢力になると発表しています(2015年)。今後、彼らの口にあう食を提供することは、食に関わるすべての人々が意識すべきことでしょう。
3つめの「米食になじみがある」というのはパンなども食べますが、米も食べる食文化です。中東圏の食というのはあまり日本でも知られていませんが、米に対して抵抗があまりないということは重要です。実際、フェア中もおにぎりについて抵抗を示すような方はいらっしゃいませんでした。
また、なにより親日家が多いこともうれしいポイントです。例えばホテル滞在中に富裕層クラスのアラビア人カップル(まだ若い)に話しかけられ、日本人だと話すと顔色が急に変わりました。このあたりの旅行客はアジア系だと中国人が多く、日本人は少ないとのこと。「そして日本や日本人のほうが好き」と明言してくれました。
■フェア開催はカタールの首都、ドーハにて
フェア開催にあたっては、カタールの和食レストラン「JUNKO Sushi & Japanese Dining」の協力を得て同店にて開催しました。ここは、カタールでも富裕層クラスの方々がいらっしゃるお店とのこと。おにぎりの価値向上を目指す協会としては願ってもいない場所です。
おにぎり協会はフェア開催にあたり、トラディショナルなものと新提案のレシピを持ち、向かいました。トラディショナルなものとしては「味噌」や「ちりめん山椒」など。新提案は「スイーツおにぎり」です。他に、レストランの外国人シェフたちやオーナーとも話し合いをして現地で人気の料理を盛り込んだおにぎりも用意しました。いずれもハラール(ハラル)対応の食材とレシピになっています。
さっそく仕込み開始です。仕込みについては外国人のスタッフたちにおにぎりを作るための手順についてもレクチャーし、僕らがいなくてもおにぎりがだせるような体制も整えます。これも、今回の目的の一つです。
仕込みが終わり、完成です。まずは試食用にと小さく作ってみたのですが、これが意外にも現地の方には人気。「おおきくほおばるよりも、ぱくっと一口で食べられるほうがいい」とのことでした。
■おにぎりフェア、みなさんの声はグローバル
食べて、取材をOKしてくれた方々のコメントを掲載していきます。まずはこの付近に2年近く住んでいるというシリア人のカップルから。テイクアウト希望だったので味の感想はもらえませんでしたが、フェアにいちはやく気づいてやってきました。
近くの銀行に勤めているというフィリピン人の40代男性にも食べてもらいました。ねぎ味噌を食べてもらいましたが、味はいいねと太鼓判。日本に行ったことがなく浅草も知らないという彼にも、おにぎりの味は通じたようです。
カタール出身の23歳の大学生にも食べてもらいました。1位に推してもらったのが「スイーツおにぎり」。このあと友達とパーティーがあるから持って行きたい! とお願いされるほどでした。2位は意外にもちりめん山椒。少し甘みがあって、高評価。ツナマヨ、アボカドツナ、おかかも美味しいとパクパク食べていきます。ただ、ここで唯一、ねぎ味噌は味が濃すぎる!(heavy)ということで嫌がられてしまいました。他の方々も「味噌」の辛味は苦手のようで味噌は中東圏では苦戦しそうです。
他にもオマーンの官僚の方など、多くの方々におにぎりを食べてもらい、さらにおにぎりを通じて日本の和食文化についても説明させていただきました。
なお、カタールでは、おにぎりフェア開催にあたり日本大使館へも挨拶へ行き、大使にも直接ご説明してきました。「なぜおにぎりなのか?」と大使も疑問を持っていましたが(そうですよね)しっかりと説明させていただき、深く理解してもらえました。アニメなどでも登場する料理ですよね、という言葉にも共感を覚えたようです。「なるほど、アニメか」と。今後とも何かあれば声をかけてください、と応援もいただけました。
おにぎり協会では、今後も国内だけでなく海外でもおにぎりを通じて和食文化そして食によるコミュニケーションの活性化を目指し活動してまいります。
なお、おにぎり協会に限らず、今回の出張の学びや体験については、代表中村祐介の個人ブログで掲載してまいりますので、そちらもあわせてご覧ください。すでに何本か掲載されております。
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