おにぎり探訪:「はるえ食堂(横山食堂)」青森
青森に来た観光客に人気スポット「のっけ丼」で有名な青森魚菜センター。そのすぐ裏手、市場の一角に、知る人ぞ知るおいしい焼きおにぎりが食べられる食堂があるとの噂を聞き入ってまいりました。
2坪ほどのこじんまりとした「横山食堂」を切り盛りするのは、横山はる江さん。パッチリとした瞳にニコニコとした笑顔が魅力的な、はる江さんに親愛を込めて「はるえ食堂」と呼ぶ方も多いそうです。83歳とは思えないほどの可愛らしさ!
営業時間は8時頃〜17時頃まで(日曜定休)。焼きおにぎりは午前中に売り切れてしまうこともあるとのこと。
私が、はるえ食堂に到着したのは11時前。風よけのビニールシートをくぐると「焼きおにぎり食いにぎたんか?ごめんね〜今お米炊いてらかや。あど1時間ぐらいかがるよ」(と青森弁で聞こえました)とのことで、1時間後に再び訪問することに。
市内をふらふらと観光しながら時間を潰しお店に戻ると、すでに焼きあがったおにぎりがトレーに並んでいました。お持ち帰りも出来るのですが、せっかくなので3脚ほど用意された店内の椅子で座って食べることに。「どっから来だんだ?」と、青森弁で聞かれました。
ほぐした塩ジャケを混ぜ込んだお米に黒ごまをたっぷりとまぶし、七輪の炭火でじっくり焼きます。しばらくすると、黒ごまの香ばしい風味が漂ってきました。頬張ると外は程よくカリッと、中はふんわりと、甘みのあるお米のおいしさが引き立っていました。
お店には、はる江さんお手製の惣菜や焼き魚、おでんが並び、おにぎり片手にちょっとつまむのにも最高の品揃え。おにぎりが焼けるのを、つまみを食べながら待つお客もいるそう。
「おにぎりも、魚も、ずっくりど炭火で焼いでるから冷めでもうめぇんだ」とはる江さん。
おにぎりの塩は少し控えめなので、おかずと一緒に食べるのにもちょうど良く箸が進みました。
昔は冷蔵技術が発展しておらず生ものは日持ちしなかったため、魚は鮮魚ではなく焼き魚として売る店が多くありました。はる江さんが「横山食堂」をはじめたのは今から45年ほど前のことで、その頃から変わらないスタイルで営業を続けているそう。
かつては、この通りに12軒あったお店も、今ではわずか3軒になってしまっているとのこと。それでも最近は、どこからか噂を聞きつけて外国からわざわざ足を運んでくれる人も居るそうです。
「おいすかった。ありがとうと言われるど嬉すいなぁ」
はる江さんのつくる焼きおにぎり。ぜひ、食べに行って欲しい一品でした。
(写真・文/小高朋子)